東京探訪・樋口一葉編
一葉は14歳のころ、小石川安藤坂にあった中島歌子の主宰する歌塾「萩の舎」に入門する。この塾は、主に上流階級の女性に和歌や書を教える私塾で、最盛期には1000人を超える塾生が集ったという。 樋口家は、父則義の事業失敗などで経済は苦境に立たされ…
一葉の旧宅から質屋の伊勢屋まではほんの数分。3階建ての家屋のある10数段の石段を上ると、伊勢屋の白い壁が見えてくる。 当時は石段ではなく土の坂だったろうが、この上り坂を風呂敷包みを片手に、小走りに駆け上がる若き一葉の姿が、思い浮かぶ瞬間があ…
「たけくらべ」の物語の後半、三の酉の日。美登利は仲間の前にそれまでとは全く違った、京人形と見まごうような服装で現れる。大島田に結った髪は、少女から女性へと艶やかに変身した美登利。 しかし、彼女は「いやや、いやや。大人に成るのはいやなこと」と…
樋口一葉記念館を訪れた。1961年に台東区が建設した、わが国初の女流文学者の単独文学館だ。その後、一葉が5千円札に採用された2006年に建物もリニューアルされた。 妹くにが保存していた日記や原稿などが展示され、生い立ちから死去まで丁寧に順を追っ…
竜泉寺町での生活は、一葉の社会観、人間観に大きな影響を与えたが、商売は破たんへの道をたどっていた。 1894年(明治27年)4月雑貨店は廃業となり、一葉一家は通算15度目、生涯最後の転居を余儀なくされる。その場所を訪ねた。 以前住んでいた菊…
いよいよの極貧状態に追い込まれた一葉一家は、窮余の一策として商売を始めることになった。1893年(明治26年)7月、下谷区(台東区)竜泉寺町に引っ越しし、荒物や駄菓子を商う店を開いた。 参考までに、周辺の地図を掲載しておこう。 旧居跡には標識があっ…
散策に戻ろう。ホテル跡のすぐ下を通る菊坂を西に向いて歩く。 本郷3丁目31の路地を左手に入ると、行き止まりの、しかし落ち着いた小路がある。ここが、一葉が18歳の時に転居した家の露地だ。 当時、父や兄たちが次々と死去、母親と妹を抱えて自らが戸…
今月から新シリーズです。東京という街の歴史の面影を、著名人の足跡をたどりながら歩く‟独断的東京探訪”。出来るだけビジュアルにまとめて行こうと思っています。 まずは、樋口一葉の生涯を中心に据えながら、東京の街を訪ねる第1シリーズ。 最初に、これ…